25〜ヴァンサンク〜

まずはジャケット。というかケースを開けたとたん目に入ってくるCD本体。一瞬「あれ?タンポポのCD??」とか思ってしまいました。続いて歌詞カード。あ、一枚も笑っている写真がない・・・。ちょっと新鮮というか、あのエロ目がないのはちょっと物足りません(笑)他にも思うことがあるのですが、これは一番最後で。それでは全7曲のレビューをできる限り。

01.愛しき人

まずイントロで一発ガツンとやられました。そして安倍さんの声が聴こえてきたところで2発目。こりゃ今までとは違うな、という印象を数十秒で感じました。それにストリングスアレンジがものすごく新鮮。つんく♂さんの音じゃないだけで、つんく♂さんの手が加わっていないだけでここまで違う印象を出せるのかと思うと今までの楽曲がえらい遠回りしてここまでたどり着いたなと思わずにはいられませんでした。まぁ、それがあったからこそこの楽曲にたどり着いたのでしょうけど。メロディーとかものすごく好き。たぶん“安倍なつみ”という人を知らなかったとしてもこのアルバムを借りて聴いたら好きになる曲だろうな、と素直に思いました。良くも悪くもいわゆるガールポップって感じ?こういう感じ本当に好き。

02.スイートホリック

毎回この曲に関して何か書くときは昨年の春ツアーを思い出すというようなことを書いているような気がしますが、やっぱりあのツアーの印象がものすごいあって・・・。この曲はいろんな表情の安倍さんのボーカルが聴けるから好きです。あとはサビ部分の高音は気持ちよくて好きです。あまり幸せな曲じゃなくて切ない曲ではあるのですが、なぜか温かい気持ちになれるんですよね。

03.大人へのエレベーター

今回のアルバムは本当にひねらずにポップスを追及しているな〜という印象を受けます。これぞ王道って感じで。そのメロディーラインに安倍さんのボーカルがものすごくマッチしているんですよね。前回はちょっと背伸びしている感じの歌詞が多かった印象なのですが、今回はアルバムタイトルに自身の年齢がついているように本当に等身大で自然に歌詞も入ってくるし、歌っている本人も無理していないなという感じがしました。

04.25〜ヴァンサンク〜

安倍さんといえばやっぱりこういう世界観なのかな〜なんて思った曲。ナチュラルなイメージというか自然という印象を与える人なんでしょうね。“らしい”歌詞に伸びやかなボーカルがマッチしていて本領発揮という感じでしょうか。こういう曲を歌いこなせるような余裕がボーカリストとしての実力をつけてきたという証がこの曲に現れているような気がします。

05.くちびるで止めて

普通に気持ちいいリズムとボーカル。朝川の土手のサイクリングロードをこれを聴きながら自転車を漕ぐ快感はなんともいえないものがあります。歌詞はそんなにスコーンとさわやかな歌詞ではないですけどね(笑)自然にリズムを取りたくなる曲。この曲をライブでやったらどんなアレンジで、どんなライティングで、どんなパフォーマンスで見せてくれるのかと想像するだけでもご飯が何杯でもいただけます。この曲で会場全体をノせることができたら安倍さんは本物だろうな、と。

06.月色の光

個人的にはこういう曲調よりもう一曲ぐらいアップテンポの曲が入ってくれると良かったな〜なんて勝手に思ったりしました。メロディー構成はものすごくドラマチックな感じ。この曲もつんく♂イズムが入っていたら出てこなかった曲だろうな〜なんて思いました。やっぱりソロで活躍している人たちは一度つんく♂プロデュースから離れたほうがいいんじゃないかな、と痛切に思った次第。

07.甘すぎた果実

これが「ストレス」でなくて本当に良かったです。もし「ストレス」が入っていたら全然印象の違うアルバムに仕上がっていたと思うので。しかし、「スイートホリック」にしてもこの曲にしても、だいたいアルバムにシングルの曲を入れると「ん?」と思ってしまうことが多いんですよね。どうしてもアルバムを作る前に作った楽曲なので全体のコンセプトとはずれてしまうことが往々にしてあるので。それを考えるとこの7曲という少ない曲数にも関わらず、シングル曲を2曲入れても崩れないアルバムの世界観はお見事だと思いました。

総評

久しぶりに長くなったので折り返し
本当はこれを先に書けばもう少し歯切れのいい感想も書けたかもしれないのですが、初めから書くような内容ではないので最後にしました。正直聴き込み足りない感は否めませんが、これも第一印象の勢いということでお許しを。
1〜2回ほど通して聴いた率直な感想としては初めは「名盤」で次第に「あれ?」っていう感じに。名盤と思ったのはやはり劇的な音の変化。つんく♂サウンドではない曲に安倍さんのボーカルが乗っかった初めてのアルバムということでどの曲も新鮮に聴こえて、次の曲に行く度に「おぉ〜」とか「すげ〜」とかアホの子供みたいに唸ってしまいました。で、しばらく聴き込むと「あ、やっぱり安倍さんだな」という印象に変化。CDを聴いていて歌っている姿は想像つくのですが、それがステージに上がって歌っている姿や歩きながら鼻歌程度で楽しそうに歌っている姿ではなく、レコーディングスタジオでマイクとにらめっこして歌っている姿しか思い浮かばないんですよね。何か感情を抑制しているというか、我慢しているような感じがしてしまって・・・。まぁ、ヲタとして脳内補完はできるんですよ。たとえそういう姿が想像しても歌い終わった後にハニカム姿とか嬉しそうな笑顔を見せることは知っているし、絶対そうだと思うんです。それを知っているだけにその表情をCDでも出して欲しいんですよね。それを聴き手、というか自分だけでもいいので見せて(聞かせて)欲しいのです。プロ意識が高いというのか、なんというか・・・。それが非常にもったいないな〜と思いました。そういう感じが一番薄いのが「スイートホリック」なので、やっぱりこの曲はいいということになるのですよ。
まぁ、文句というか安倍さんファンにはあまり気持ちよくないことを書いてしまったかもしれませんが、自分としてはかなり好きなアルバムです。良くも悪くも現在進行形の“安倍なつみ”がギュッと詰まったアルバムに仕上がったと思います。名刺代わりに配っても惜しくない作品ではないのかな、と思います。安倍さんに少しでも興味のある人は初回版ですと若干高いので2,100円の通常版ならお手ごろ価格なので買ってみても損はしないと思います。